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ICF-CY Japan Networkお薦め図書の紹介 第一弾!

~社会モデルとICFの理解に!~

 ICFが「医学モデルと社会モデルの統合」を謳っていることは、FAQでご紹介したとおり
ttp://www.icfcy-jpn.org/wp/?p=139)ですが、では、「社会モデル」とは、どんな主張をしているモデルなのでしょう?
社会モデルの視点を知ることは、ICFを理解・活用するうえでとても重要なことであると思います。社会モデルの主張がみられる文献図書の中から、入手しやすい本をいくつかご紹介しましょう。

「アスペルガー当事者が語る特別支援教育(高森明,2007,金子書房,¥1,800)」

【紹介】26歳でアスペルガー症候群の診断を受けた当事者である筆者が、社会モデルに基づいた持論による特別支援教育への提言を行った一冊です。彼の生育歴に始まり、ICF の解説も含むさまざまな方向からの「視点」や「解釈」の紹介が、彼自身の経験に基づい て、非常にわかりやすく整理されています。そして、そのあいだには、上野一彦氏、内山 登紀雄氏、倉本智明氏との対談録も掲載されています。

「良い支援?(寺本晃久・末永弘・岡部耕典・岩橋誠治,2008,生活書院,¥2,300)」

【紹介】障害者自立生活運動を先導してきた身体障害者中心の運動は、知的障害・自閉症など自己決定のむずかしい人たちの自立とはなに?という問いを私たちに投げかけてきました。この本の事例はどれもそうした問いを常に抱えながら試行錯誤してきた人たちの歴史であり、現実です。「あるべき姿」や「守るべきルール」を求めようとしてしまう教育や福祉・社会の方向に「?」を唱える支援…規範や義務について再考しようとする社会モデルを基礎にしています。

「母よ!殺すな(横塚 晃一 立岩 真也,2007,生活書院,¥2,625)」

「生の技法―家と施設を出て暮らす障害者の社会学(安積 純子他,1995、藤原書店,¥2,900)」

【紹介】どちらも、当事者の声として説得力のある本です。「母よ・・・」では、障害者自立生活運動のバイブル的な一冊。「泣きながらでも親不幸をわびてでも、親の偏愛を蹴っ飛ばさねばならないのが我々の宿命である」という有名な一文があります。ご紹介したのは、1975年初版の名著に、立岩氏の解説等を加えた復刻版です。「生の技法」のほうも、「障害者運動の実態を活写する問題作」と評されるほど、影響力のある本です。

 社会モデルは、医学モデルに慣れてしまった私たちには、なかなかすぐには理解しにくいモデルかもしれません。が、社会モデルでは当事者の声を聞くことを第一の基本にしています。当事者の声をまず読んでみてください。そこには、「こうだろう」と想像しているのとは違う、良い意味の「衝撃」「発見」がきっとあります。そのあとではICFもまた違ってみえてくるかもしれません。みなさんのご感想、ぜひお聞かせください!
 (文責:日本女子大学大学院 下尾直子)

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