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11月, 2023の投稿を表示しています

祝!20回記念のICFシンポ&ポスター発表@特殊教育学会の報告です(その5)

今回は,フロアを交えた議論,その後の議論,そしてポスター発表の様子について報告します! 〇フロア交えて協議 1)Aさん, ・ICFとICTの活用の取り組みを進めてきた.同じ活用でも,ICTだと主語が子供になるが,ICFだと支援者になるところが不思議である. 2)Bさん  比較的古くから,ICFの活用に取り組んできた.以前は特別支援学校に在職していたが,現在は福祉分野での仕事.福祉分野では,ICF そのものを知らない人はいないので,研修で扱うことも必要がない.現職でも使えるも,と感じた. 3)(終了後,直接企画者へ)元特別支援学校等の校長のCさん ・共通言語になる前には,その前のプロセスとして 葛藤の段階があり,それを通り過ぎないと有用な共通言語にはなりえない. 〇シンポジウム全体を振り返って ・前回大会は,天候不順等で全員が集合できなかったが,今回大会はコロナ禍以降,久々に対面でじっくり話ができてよかった. ・インクルーシブ教育の文脈での活用だからこそ,従来の特別支援教育ではない領域への理解啓発ツールにより重点を置く必要があると感じまた. ・ICF活用のあらたな可能性をあらためて感じた.それぞれの課題を整理しつつ,さらに江検討を進めていきたい. 〇ポスター発表 自主シンポジウムの前日,以下のポスター発表を行いました. 「子どもの育ちを切れ目なく支えるICFを活用した共通情報シート開発に向けた基礎的研究」 德永亜希雄(横浜国立大学),田中浩二(至誠館大学) ・本研究は,子どもの育ちを切れ目なく支えるICFを活用した共通情報シート開発に向けた基礎的な知見を得るため,特別支援学校の実際の個別の教育支援計画への実装に向け,適切と思われるICFの項目を抽出することを目的としたもの. ・その結果,d130 模倣」他17項目が抽出され,今後の実装に向けた方向性が報告された. ・発表には,参観者が,こちらも切れ目なく訪れ,活発な質疑応答,議論が交わされた.参観者は,就学前にかかわる,切実な課題意識をもつ関係者が多く,今後の活用を期待する思いや実装を通した実証,実用化の必要性が感じられた. 以上が,2023年度の特殊教育学会での自主シンポ及びポスター発表の様子の報告でした. 御覧いただき,ありがとうございました. 次回は,自主研修会の様子を報告します.お楽しみに!. (文責 ICF-

祝!20回記念のICFシンポ&ポスター発表@特殊教育学会の報告です(その4)

今回は,指定討論者からの質問に対する,それぞれの応答について報告します. 1)德永 *山元さんへ ・ICFが分かりやすい簡便な理解啓発ツールは必要かなと思う.ただし,各現場に+αで仕事が増えるような方法ではなく,溶け込ませるような方法が取れないかと思案中.今回の研究で明らかになった17項目についても,そのまま使うのではなく,実装先の学校の様式とマッピングをして,溶け込ませる方法をとった.自立活動の流れ図の中に溶け込ませるツールができないかと思案中. ・障害観とあったが,ICFだと機能障害,活動制限,参加制約の3次元がある.これらのうちどれか,或いはそれ以外か,整理したらより分かりやすいと感じた.ICFの立場からは,生活機能理解のほうが良いかもしれない.教育の文脈では,斉藤さんが話されていた.周りの人のこと等も含めた,子ども理解というのがしっくりくるような印象を受けた.実行状況と能力という考え方も有用. *田中さんへ ・教育の中とか,その領域の中だけで仕事する際は,分類項目は不要だが,他分野・他領域連携のもとで仕事を展開する際に共通言語としてのICFの分類項目が使えるとよいと考える.概念図とセットだとよりよい. ・ICFの評価点そのものの活用はまだやはり難しい.各領域で使っているアセスメントツールでの測定結果をリコードするような形で,その状況を表し,他分野と共有するような使い方はできないかと思案中. 2)斉藤さん ・障害観の理解,促進・醸成という話だが,そもそも障害とは何か・国際障害分類から国際生活機能分類になり,生活機能が前に出て障害が引っ込んだことが象徴しているように,障害と呼んでいるものは,その人の生活の在り様そのものであり適応努力と言えよう・ ・自立活動では調和的発達を目指している・つまり障害をなくすとか変えると言ったことではなく,調和的発達,その人が環境と相互作用するのに最適化された発達を目指そうということである・ ・評価については,子ども自身が評価することの重要性を感じる・ 3)逵さん *山元さんへ ・働き方改革・インクルーシブ教育の推進・教員不足・資質能力の向上などの学校の課題解決においてICFは今後も活用されると考える・その中でも,教員不足の中,もともと特別支援教育を目指して採用される人は少ない状況の中で,特別支援教育の理解啓発として障害のある児童生徒

祝!20回記念のICFシンポ&ポスター発表@特殊教育学会の報告です(その3)

今回は,指定討論者からの補足と話題提供者への質問について報告します. 1)山元さん ・小・中学校の児童生徒数が減少している一方で,通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果(文部科学省,2022・2012)をもとにした特別支援教育の規模は拡大してきている.また,学校教育全体は,インクルーシブ教育を実現する方向で進んでいる. ・自身が講師を務めたICF活用研修におけるアンケート結果からは,ICFに関する理解は進んでいないことが明らかになった. ・子どもの周囲の教育や支援をする人の「障害観」が重要なのではないかと考える. ・各話題提供者には,インクルーシブ教育の実現に向けて,どのようにICFを活用していくことで,一人一人の子どもたちの充実した教育が実現できるか,考えを伺いたい. 2)田中さん ・これまで,ICFに関する研究では,高齢者や障害者を対象としたICF環境因子の測定や,測定に際した新たな手法の可能性の検討,さらに多数のICF項目を収斂していく作業などを中心に行ってきた・いずれも,ICF項目や評価尺度を臨床場面で実用可能なものにすることを目指すとともに,その可能性を検討することを行なってきた・ ・最近でも,就学前と就学後の接続期をターゲットとして,就学前施設と小学校の教職員を対象にして子どもの状況・状態を把握するための情報共有ツールの開発としてICF項目の活用方法を検討している・この取り組みについても,これまでと同様にICF項目の活用を目指している・ ・これらの取組から見えてきたこととして,ICFの概念図を用い,対象把握の一つの枠組みとして活用していくことには一定程度の効果があると推察されるが,対象者の状況状態をより詳細に把握していくためには,分類項目や評価点の活用,あるいは評価等を行うための新たな手法を検討・開発していくことが求められると考えられる・ ・各話題提供者への質問として,一点目としては,現場等でICFを活用している話題提供者の方々に対して,ICFを用いることで教育の効果や変化の様子を把握することが可能であるかについての見解を伺いたい・二点目として,ICF概念図での実態把握の限界点なども含め,ICF項目や評価尺度を用いる際の可能性や課題について伺いたい・ 今回はここまでです. 次回は,指定討論者への質問に対すする,それぞれの

祝!20回記念のICFシンポ&ポスター発表@特殊教育学会の報告です(その2)

今回は,企画者・話題提供者の主な補足説明内容について報告します. 1)德永 ・我々は,これまで,主に特別支援教育の文脈でのICF活用について,本学会での自主シンポジウム等を通して検討を重ねてきており,今回が通算20回目の開催となり,その系譜を一覧にまとめ,スクリーンで示した. ・その間のトピックである障害者権利条約やインクルーシブ教育の流れの中では,障害のとらえ方が社会モデルに寄りすぎている印象をもっており,その意味でもICFの概念的枠組みの共有は重要であり,個々の参加を支える環境因子として合理的配慮という考え方はなじみやすいと考える. ・これまでは概念的枠組みの活用の取組,報告が多かったが,今回は,ICFが多職種等をつなぐ共通言語であることを踏まえ,就学前から就学後への移行支援のためにICFの分類項目を活用した研究の取組について話題提供を行う. 2)斉藤さん ・小学生の数が過去最低という最近のニュースにもあるように,通常の義務教育学校に通う子どもが減少の一途をたどっている・その反面,特別支援教育を受けるこどもは増えている・特別支援教育の特徴でもあり要でもある自立活動に対する期待は大きいものの,その充実はいまだ課題が大きい. ・自立活動の指導の難しさの一つとして評価が難しいという声が聞かれる・ICFは実態把握=子ども理解に貢献できると考える. 3)逵さん ・これまでICFにどのように関わり,どう活用してきたかを報告し,今後に向けてどうあるべきか考えたい・ ・主にICFの概念図を活用してきた・活動と参加,環境因子の阻害因子や促進因子を考え,視覚的に実態や課題を共有できたことは大きなパラダイムシフトであった・平成21年に公示された特別支援学校学習指導要領の解説で新たに「ICF」と「キャリア教育」の文言が示され,自立活動において,ICFの視点について示されたことも活用推進の背景にある・これまで,理解啓発・実態把握・連携・自立活動・進路・合理的配慮・本人参画・キャリア教育をキーワードとし,昨今はインクルーシブ教育をテーマに活用してきた・ ・現在,学校では,働き方改革・資質能力の向上,インクルーシブ教育の推進,教員不足が課題となっている・それらの課題解決に向けて,子供達に向き合う時や教員の資質向上のためにICFの理念を共通理解すること,そして児童生徒を主体としての話し合いのツ

祝!20回記念のICFシンポ&ポスター発表@特殊教育学会の報告です(その1)

暑すぎた夏が過ぎ,一気に秋がやってきましたが,皆様,いかがお過ごしでしょうか. 例年9月に開催されてきた特殊教育学会が,今年は8月に熱く開催されました. 横浜市の横浜国立大学が会場でした. シンポジウム等の報告の前に,大会事務局の一人として,暑い中,小高い丘の上にある本学にお越しいただいた方,オンデマンドでご参加いただいた方等,すべての関係の皆様に心より御礼を申し上げます. 皆様のおかげで,無事に開催・終了することができたことをたいへんありがたく感じております. さて,今回から,5回にわたり,自主シンポジウム及びポスター発表の様子について報告します. 今回は,自主シンポジウムの概要について報告します. 「インクルーシブ教育とICF(3)」と題した私たちの自主シンポジウムは,最終日8月27日(月)の最後の時間帯でしたが,多くの方にご参加をいただきました. 事前の動画視聴も含め,ありがとうございました. 関係者と役割,テーマ等は以下の通りでした. 企画者・司会者 徳永亜希雄 (横浜国立大学) 話題提供者 徳永亜希雄(同)「20年間の取り組みを踏まえて」 齊藤博之(山形県立ゆきわり養護学校)「自立活動に関する諸課題」 逵 直美 (東京都立光明学園)「学校におけるICF活用の再確認」 指定討論者 山元 薫 (静岡大学)「これからの時代のICF活用」 田中浩二 (至誠館大学,のあ保育園)「今後のICF活用の可能性と展望」 当日は,事前に配信済みの話題提供及び指定討論の補足説明から始め,指定討論と話題提供者との質疑応答,続いてフロアも交えた討論を行いました. その具体的内容については,次回報告いたします. 〈以上 運営スタッフ代表 徳永)