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2019年度日本特殊教育学会@広島大学 自主シンポジウムの報告(その3)

前回からの続きとして,今回は,フロアとの主なやりとり,最後のまとめを報告します.

まず,フロアから,学齢期の子どもにおいてのICFコアセットを考えるときには,特に「参加と活動」において学習面に関した評価項目(分類項目)が多くなると考えられるが,インクルDBの実践事例とのマッピングをして,3観点11項目に不足している点がなかったかどうかについて,堺氏に対して質問がありました.
堺氏は,①3観点11項目に基づく実践事例との適合性を検討しているので,3観点11項目以外で何が不足しているかについては分からないこと,②何か他に合理的配慮について記述しているものがあって,それとの適合性を検討して得られたカテゴリーと今回得られたカテゴリーを比較することができれば,検討可能であり,インクルDBの他に基準となる合理的配慮ついて記述したものがあればよい,と応えられました.

続けてフロアから,コアセットは多変量解析などの手法を用いてできたものであるが,話題提供されたものをコアセットと呼んでよいかとの質問がありました.
これに対し,司会者より,コアセットの位置付けや手続については,世界の動きも含めて堺氏が見てこられたことが述べられ,堺氏にコメントを求めました.
堺氏は,コアセットは,WHOによって厳密な手続きに基づいて開発されたもの,とされているので,私のコアセットはコアセットと呼ばないほうが良いのではないかという議論があったが,ICFカテゴリーの活用に関しては,コアセットを作成するということが大勢を占めていたので,コアセットという名称を使う流れできているが,今後検討したい旨,回答がありました.

最後に,司会者より,台風の中での参加と活発な議論に対して,謝辞が述べられ,今回は次のように論点を整理しながら進めたこともあり,全体の構造が分かりやすく,議論の整理ができたことが述べられました.
・ICFの全体がどのようになっていて,それらのどこに着目しているか,
・どのように使おうとしているか,
・合理的配慮をどう捉えているか,
・どのような手続を踏んでいるか
今回の議論を踏まえ,課題を整理して,さらに検討を深めたいことが確認されました.

〈以上 運営スタッフ代表 徳永)

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