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祝!20回記念のICFシンポ&ポスター発表@特殊教育学会の報告です(その4)

今回は,指定討論者からの質問に対する,それぞれの応答について報告します.

1)德永

*山元さんへ

・ICFが分かりやすい簡便な理解啓発ツールは必要かなと思う.ただし,各現場に+αで仕事が増えるような方法ではなく,溶け込ませるような方法が取れないかと思案中.今回の研究で明らかになった17項目についても,そのまま使うのではなく,実装先の学校の様式とマッピングをして,溶け込ませる方法をとった.自立活動の流れ図の中に溶け込ませるツールができないかと思案中.

・障害観とあったが,ICFだと機能障害,活動制限,参加制約の3次元がある.これらのうちどれか,或いはそれ以外か,整理したらより分かりやすいと感じた.ICFの立場からは,生活機能理解のほうが良いかもしれない.教育の文脈では,斉藤さんが話されていた.周りの人のこと等も含めた,子ども理解というのがしっくりくるような印象を受けた.実行状況と能力という考え方も有用.

*田中さんへ

・教育の中とか,その領域の中だけで仕事する際は,分類項目は不要だが,他分野・他領域連携のもとで仕事を展開する際に共通言語としてのICFの分類項目が使えるとよいと考える.概念図とセットだとよりよい.

・ICFの評価点そのものの活用はまだやはり難しい.各領域で使っているアセスメントツールでの測定結果をリコードするような形で,その状況を表し,他分野と共有するような使い方はできないかと思案中.

2)斉藤さん

・障害観の理解,促進・醸成という話だが,そもそも障害とは何か・国際障害分類から国際生活機能分類になり,生活機能が前に出て障害が引っ込んだことが象徴しているように,障害と呼んでいるものは,その人の生活の在り様そのものであり適応努力と言えよう・

・自立活動では調和的発達を目指している・つまり障害をなくすとか変えると言ったことではなく,調和的発達,その人が環境と相互作用するのに最適化された発達を目指そうということである・

・評価については,子ども自身が評価することの重要性を感じる・

3)逵さん

*山元さんへ

・働き方改革・インクルーシブ教育の推進・教員不足・資質能力の向上などの学校の課題解決においてICFは今後も活用されると考える・その中でも,教員不足の中,もともと特別支援教育を目指して採用される人は少ない状況の中で,特別支援教育の理解啓発として障害のある児童生徒に向き合うための基本姿勢をICFで確認するところで活用が期待できる・また,資質能力の向上において,実態把握と目標設定などのために児童生徒全体像を把握するためのツールとなることに期待できる・

*田中さんへ

・前述の課題のある中で,ICFは世界標準であることから,客観的評価ができるツールとして活用できると考える・今後さらに評価のわかりやすさや分類項目の必要に応じたカテゴリー化が必要になると考える・誰もが活用できるためには評価の仕方などわかりやすさ, 電子版の普及も考える必要がある・あらためて何を目的にICFを活用するのか明確にすることが必要・

今回はここまで.

次回は,フロアを交えた議論,その後の議論,そしてポスター発表の様子について報告します!

( 以上 運営スタッフ代表 徳永)

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ICFシンポ&ポスター発表@特殊教育学会 今年は@博多です!

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2025年もよろしくお願いいたします

2025年となりました. 2024年もお世話になり,ありがとうございました. 2024年は,元旦から能登半島地震がある等,たいへんな年でしたが,皆様はいかがでしたでしょうか. ICFCYJPNといたしましては,次のような取組みをしました. 1月は,多様な教育的ニーズのある子どもたちの支援のための多職種間連携におけるICF活用研究会との連携のもと,対面とオンラインでの勉強会を行いました(話題提供:徳永亜希雄・西村修一). 9月は,特殊教育学会での自主シンポジウム 「共通言語としてのICF活用の再考」に参画しました(司会:徳永亜希雄,話題提供者:徳永亜希雄・逵直美・西村修一,指定討論:山元薫・田中浩二). 久しぶりの対面のみでの大会で,たいへん盛り上がりました. また,「子どもの育ちを切れ目なく支える個別の教育支援計画へのICF分類項目実装化に関する実証」と題して,ポスター発表も行いました(德永亜希雄,田中浩二). 2025年もいろいろな取組をする予定です.どうぞよろしくお願いいたします. 今年が皆様にとって良き年となることを願っております. (文責 ICF-CY Japan Network 運営スタッフ代表 徳永亜希雄)